大人の匂いのする少し濃いめのお化粧。
舞台の袖(そで)の暗がりからみえるまぶしい舞台。
それとは逆に、暗くてよく見えないけれど、人がうまっていることだけはわかる客席。
振り付けを忘れてしまったらどうしよう。
練習どおりやればだいじょうぶだよね。
友達も緊張している。だいじょうぶ、だいじょうぶ。
衣装とシューズのチェックをし、大きく息を吸って、水色の世界へジャンプ。
作者は小学3年生のかわいらしいバレリーナ。
自分が出演した発表会での一場面を描いています。
もちろん緊張はしたでしょう。
でもいざ舞台で踊りだせば、
体がひとりでに動いてくれる。
そのとき体をつつんだ、なんともいえない充実感。
無重力のなかにいるような軽やかな感覚。
それを水色の水彩にたくしています。
発表会では記念撮影もしたし、
踊っているところのスナップ写真もあります。
でも、水の精になったような感覚までは
表現してくれません。
このすらりと伸びた手足は、作者が舞台の空気のなかで感じたそのままなのです。
夢のなかで跳んでいる、のではありません。
夢のなかへ跳んでいます。
「夢のなかで」あそんでいた子どもたちも、
いつしか夢の実現にむけて飛び出していく。
そんなふうに世界がかわっていくときに描かれた一枚です。
そう思って見ていただければ、水色にかがやく舞台の緊張感、
客席のざわめき、
舞台装置の星がかすかに触れあってたてる音などが感じられてくるはずです。
夢に向けてジャンプ!
子どもたちがそれぞれの夢に向けて突進していった痕跡は、
アトリエ10の子どもたちが残していった作品のなかに、
きら星のごとく残っています。
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メトロ児童絵画展 入選作
電車の横っぱらには、なんと「丸ノ内線が飛ぶ!」という予告が。
巨大な怪鳥の脚と脚のあいだをくぐりぬけ、雄叫びに指示されたかのごとく、
いま異次元へと、ばく進しようとしています。
この鳥の脚のたくましさはどうでしょう。
見るべきはこの構図。
体はS字カーブをもって描かれていますが、翼はつけねの一部分だけ。
でも絵を見る人は、いやでも画用紙の左側に大きく羽ばたく翼を想像してしまいます。
テレビや映画、アニメやゲームなど
すぐれた映像表現に触れているので、
こういうことがすっとできてしまうんですね。
どこから丸ノ内線が飛ぶというテーマを思いついたのか、
じつのところよくわかりません。
謎は謎のまま、想像力を刺激したものを
絵のなかに惜しげもなく放り込んで
楽しんでいます。
「雪月花」は、もしかしたらゲームの剣法の名前?
ゲームの主人公(ヒーロー)というのは、混迷した世界をさまよい、
語るべき物語を探しもとめて、
成長していくというのが基本的なパターン。
作者の心のうちでは、
丸ノ内線はヒーローのように擬人化され、
いまどこかへ旅立つ瞬間なのかもしれません。
うーん、丸ノ内線も出世したものです。
車体がシルバーだからこそ、
ヒーローとしての無垢な美しさが強調されます。
無垢で純真な若者というのもまた、ヒーローの性格の特徴。
でも、じつは丸ノ内線、
このひとつ前のモデルでは今とは逆に、赤に白いラインでした。
地下鉄では、地下という制約をいかに有効に、かつ安全に使用するか、
これがポリシー。
でも作者はそんな制約をすべて取っ払い、
自由で柔軟な発想で、丸の内線を宇宙に飛ばし、
壁画にでもふさわしそうな、大きな絵柄にしています。
小さいけれども大きい。
小さいというのはこの画用紙、大きいというのは作者の発想力。
この十倍くらいの大きさで描かせてあげたい。
そんなことを思わせる力のこもった絵ですが、
応募作の規定により、A4というとても小さな画用紙に描かれています。
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わっせ、わっせ、おしくらまんじゅうの水玉が空から降ってくる。
絵を見ていただければ、なんのことかすぐにわかっていただけるでしょう。
水玉といってもかなり大きなもの。
金色もありますが、茶系が多く、アクセントに水色や緑。
これらの水玉を支えているのが、下半分の空間と色彩です。
絵のまんなかにおかれているのは、サイネリアの鉢植え。
春先にいちばん最初に花屋さんのウィンドウに飾られ、
人の目をひきつけるとても美しい花です。
一鉢だけでも、とても豪華な感じがするなあ。
そのたっぷりとした豪華さを、
花と、そのまわりの空間ごと描いたのがこの絵。
テラコッタの鉢と同系色のテーブルマットを、
画用紙の幅いっぱいに描いています。
うっかりすると
長方形になってしまいそうなところを、
向こう側のふちのラインを
なだらかな右さがりにし、
同型連続の人形模様を、
右のほうでは大きくしています。
こういう微妙な変化が空間をたっぷりとした感じにさせます。
ここがまっすぐの線だったらおもしろくもなんともありません。
おしくらまんじゅうの水玉を、
こんなふうに受け止めることができたかもあやしいものです。
サイネリアの白い花のあいだには赤が置かれています。
影?
いえ、写実にとらわれたそんなちっぽけな発想ではありません。
ここに赤がくれば、この絵の大半をしめる茶色に勢いがつきます。
この赤は不自然に見えないどころか、サイネリアの白を引き立てながら、
この絵の主要なトーンである茶色をよりあざやかにみせる効果を
生み出しています。
テーブルマットの模様のように、とてもていねいに描いているところと、
大胆なところが同居しています。
テーブルマットの模様は、交互にわずかな色ちがいで塗られています。
わっせ、わっせ、水玉のおしくらまんじゅうの形がいびつになっているところは、
作者の勢いそのまま。
サイネリアという植物を知らない人でも、この絵をみれば
花のたっぷりとした豪華さをわかっていただけることでしょう。
おしくらまんじゅうの水玉を生かしたこの絵の作者は小学3年生。
水彩画です。
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世の中にあったら楽しいもの・・・・
それは、クマさんの眉毛。
ご賛同を得られるかどうか、まずはごらんください。
これはアトリエにある大きなクマのぬいぐるみです。
なんて大きくてかわいいの、そういうつぶやきがそのまま絵になっています。
なんともかわいらしい表情。
思わず見ているほうの顔もほころんでしまいます。
うーん、もしかしたらこの眉のせい?
でもこれは大人のあまりにも分析的な考え方で、
作者は眉がどうのこうのということはまったく思っていません。
かわいいなあ、という気持ちが
クマさんの顔をこんなふうに見させているんですね。
ひらがなを知ったばかりなので、
それを使ってみたくて、
矢印で、
おおきいくま、
と注が入っています。
このひらがなだって、
あったら楽しいもののひとつ!
大人になってしまうと知識を自分のものにしていく過程の楽しさなんて、
すっかり忘れています。
そんなところもぜひくみ取ってみてください。
世の中にはなくていいものもたくさんありますが、
あったら楽しいものだってたくさんあります。
アトリエ10の子どもたちには、
そういうものにひとつでも多く触れてもらいたい。
でも絵を見ていただければ、
そんな心配は杞憂なことがおわかりいただけるでしょう。
クマさんのお腹あたりをめがけて、
人魚姫がまるでイカのように、すいっと足のほうから泳いできています。
これもアトリエにある人形ですが、
胸もとにちょっとお忘れものがあるようで・・・
それが、あったら楽しいものなのか、ないほうが楽しいものなのか、
作者は保育園にかよっている女の子・・・微妙な問題なので、
結論は先送りです。
この日、たまたまロシアのおみやげでいただいた
マトリョーシカのクッキーがありました。
マトリョーシカのお人形の話をしてあげると、食べる前に鉛筆でちょこちょことスケッチ。
これがまたなんともかわいい。
いや、それ以上に
よく見て描いています。
この年齢の子どもは
目の前にあるものを
そのまま描写するというのは
意外に難しいもの。
おや、こんな才能もあるのだ、と
思わず見直してしまったほどです。
秋風にそよいでいるピンクのコスモス。
これだってあったほうがもちろん楽しい。
絵にしておけば、
マトリョーシカのクッキーがいつまでも記憶に残るように、
秋の日のアトリエでのことが、
いつまでも記憶に残ってくれます。
リンゴのような赤と水色のうつくしい組み合わせ。
これだって立派な、あったら楽しいもののひとつ。
そんなものをいくつも数えながら
こうして絵を紹介できるのも、また、
あったら楽しいもののひとつです。
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メトロ児童絵画展 入選作
世の中、素直な人ばかりとはかぎりません。
そんなことお前に言われたくない、なんてことを言い出す人が
必ずひとりやふたりいるものです。
それだけに、マナーを守ろうというような公共のポスターは、
じつはなかなかむずかしいのです。
作者は小学4年生の女の子。
「地下鉄のマナーを守ろう」というテーマを前に、いったいどういうことが
マナー違反なのか一生懸命考えました。
マナー違反の人の頭や物の上には小さなバツがついています。
バツは全部で5つ。
えっ、5つしかないの?
実際にはもっとあるでしょう。
そう思った方、ちょっと待ってください。
5つしか考えつかなかった、
ということがすばらしのです。
考えてもみてください。
小学4年生の女の子が、そうねえ、
なんて小首をかしげながら、
たちどころにマナー違反を十も二十も
並べ立てたらどうでしょう。
聞かされたほうが、クチあんぐりです。
その点、この絵の × はどうでしょう。
大人の受け売りのような × ではありません。
それだけに、見ていても心がなごみます。
あらっ、ごめんね、お姉さん、ちょっとぼんやりしてたのよね。
ちょっと急いでいたもんでごめんごめん。おじさん、今度から気をつけるからね。
素直にあやまれそうなものばかり。
命令でも、強制でも、非難でもありません。
その証拠に、バツがなければとても楽しそうな地下鉄のプラットホームの情景です。
ホームに塗ったラベンダーの色と調和させるために、
まんなかの黄色をはさんでとてもきれいな青空になっています。
地下鉄の青空、なかなかいいじゃないですか。
エンドレスで流される「おやめください」という放送より、
こんなかわいい絵のほうが、
人はやさしく説得されるのではないでしょうか。
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アトリエにある人形のなかでひときわ異彩をはなっているのが、
このくるみ割り人形。
髭をはやし、なんともいえないしかめっつら。
大きさだって、二つ並べればかなりの迫力です。
おいおい、そんなふうに描いちゃこまるぞ。
なんだか人形がクレームをつけてくるみたいなんですね。
それをどのようにご当人に納得していただくか・・・。
作者は小学六年生の男子。油絵で挑戦です。
でもただ写生しているのではありません。
ふつうは足の位置をそろえて、頭の位置に高低差をつけるところを、
左と真ん中は顔の高さが同じ。
並べておいて、とん、とん、すとーんで、次は一気に下げる。
おいおい、わしはそんなに肩をつっぱらかしてはおらんぞ。
そんなことをいわれても困りますよね。
正方形と長方形でおもしろさを引き出したい、
そんな小さな発見がもとになっているんですから。
どの四角形も、グラデーションや影は一切つけずに平面的に塗ることで、
四角形のおもしろさをより強調。
と同時に、色の対比効果をねらっています。
チューブからひねり出したナマの色、
なんていうものはひとつもありません。
自分のつくりだした色を、どれだけいいセンスでならべるか。
ここは同系色でいったほうがおもしろい。
ここははっきりと明暗をつけて、この色を強調するように組み合わせてみたい。
いちばんきれいに見えるにはどうしたらいいか。
作者のデザイン感覚がおおいにためされるところです。
おいおい、人形というものは立体的なものだぞ。
それをなんだ、君は。
なんだかわしらは、
切り紙細工になって貼りつけになったような気がする。
まあ、言わせておきましょう。
たしかにくるみ割り人形は、二次元的な形へと分解されてしまいました。
でも、だからこそおもしろいと思わせるように作者は表現しています。
その強力な助っ人が、背景のチェック柄。
チェック柄のなかにくるみ割り人形が浮き上がって見えたり、
沈みこんで見えたりしませんか?
この絵には、どの部分をどんなふうに切り取っても、
積み木遊びを思いださせてくれるような、
あるいは作者が夢中で遊んでいるときのような、楽しさがあります。
こんなふうに描かれちゃったのか。
ぽかーん。
くるみ割り人形の表情がそんなふうに見えてくるからふしぎです。
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とてもみずみずしい絵です。
えっ、この顔のついたオレンジみたいなものがみずみずしいんですか、
逆に聞きかえされてしまいそうです。
でもよく見てください。
絵のなかのみずみずしさは、
対象のみずみずしさによるものではありません。
もしそうだったら、みずみずしい野菜を描けば、
みんなみずみずしい絵が描けてしまうことになります。
みずみずしく見えるのは、対象をそのように描かせている精神のほう。
作者は小学六年生の男子。
自分でこのテーマを見つけてきました。
たとえば、幼稚園に通っている子どもに
宇宙のなかで自己との対話を
描いてみてね、と頼んでみましょうか。
彼らはいま自己をつくっている
まっさいちゅうです。
せいぜいお星さまを描くくらいで、
そんなテーマで絵を描けるわけがありません
それでは、大人の場合はどうでしょう。
たしかに大人には自己はあります。
でも残念なことに対話がすっぽりぬけて、
宇宙のなかで自己主張ばかり、
なんてことになりがち・・・。
どうして宇宙はあるのだろう。
どうして自分はここにいるのだろう。
死とはなにか。
生きるというのはどういうことか。
戦争はどうしておきるのだろう。
正義とはなにか。
悪とはなにか。
時間とは?
美しいとはどういうことか。
・
・
どれひとつとして
簡単に答えの出るものはありません。
こういうことを考えている自分とはいったい何なのだろう。
その驚きが、このユーモラスなオレンジ色の形になっています。
この作者独特の、なんとも不思議な造形感覚です。
美術にかぎらず、文学や、音楽や、映画などさまざまな芸術は、
その作者が、この作者くらい若いときにいだいた「問い」が、
深くかかわっているもの。
いわば感動の原点です。
これらの「問い」は、そういう感動への、
「青春キップ」ならぬ「青春パスポート」。
その価値がわかるときまで大切に保存しておいてください。
グレーの落ち着いた色合いのなかに、放射線にひろがる空間。
ういういしい感性が、この年齢でしか描けないもの絵を描かせたといってもいいでしょう。
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あの、どこがぴょんなんですか?
まんなかのうさぎ、そして右側のいぬも、そろって野原でぴょんです。
さらにですね。この作者も、この絵をもってぴょん!
はねています。
作者は幼稚園の年長さん。
まだ乾ききらない油絵を手にしてはねてみました。
こういうものを描いてみたい。
意志がいつも明確。
絵でしか表現できないものをさがしてきます。
野原のグリーンに対して、うさぎはなんとむらさきです。
これだけでもなかなか個性的。
むらさきは大好きな色なので、グリーンにあわせたらどんなふうになるのか、わくわく。
うさぎの体はブルー。
もちろん赤やピンクも大好きですが、
この絵はグリーンとブルーでいく。
迷うことはありません。
チョコレートケーキにお砂糖のパウダーが
ぱらぱらっとかかっているととてもおいしくみえる。
ここにお砂糖みたいに白をいれて・・・
玉乗りをしているいぬみたい。
ぴょん、ぴょん、みんなでぴょん。
はずむ心!
それは何ですか、なんて聞かないでください。
キャンバスをもってぴょんですから、揺れています。
雲もお日さまも、みんないっせいにぴょんしています。
そして地面に落ちてきたところ。
へばりついてしまいました。
あれこれしちめんどうくさいことをついつい考えてしまう大人のかた、
まずなにはともあれ、
この絵の作者のようにキャンバスをもってぴょんしてください。
絵のなかのものもいっせいにぴょんして、
思いもかけなかった楽しい絵が描けると思います。
野原でどすん!?!!
うむ?
まあ、いいでしょう。
聞かなかったこと、見なかったことにして・・・ 心はぴょん、です。
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ぬいぐるみを制作しているのは、
「人形屋」というロゴマークの入りのTシャツを着たスタッフ。
全員がとんがり帽をかぶっています。
でも、よく見ると一人だけスカートをはいて、
片目をつぶってウィンクをしている人がいます。
ははあ、どうやらこの彼女がチーフらしい。
お洋服のほう、早くお願いしまーす。
おなかが大きすぎたみたい。少しつめすぎじゃないの。
えっ、服が小さすぎた? まあ!
そこのところカーブしてまーす。
目の大きさをきちんと揃えてくださーい。
わが制作室の実力がためされるところでーす。
ありゃ、ちがったかも・・・どれどれ。
よそ見はダメ。
針は凶器でーす。
ふりまわさないでくださーい。
針の本数を確認してくださーい。
名前?
そんなの今、考えることじゃないでしょう。
納期があるのよ。
お客様がお待ちです。
ノーテンキに夢想なんかしていなで、口じゃなく手を動かしなさい!
あれれ、叱られてしまいました。
でも口とはうらはらに、いかにも楽しそう。
手芸大好き少女というのは、
たぶん今も昔も一定のわりあいでずっといるのでしょうね。
手芸用品のお店のなかにある小さなボタンや糸などを眺めているのが大好き。
いったいどんな人がこれを買っていって、
どんなところに使うのだろう。
もしかして指の細くて長い、若いお兄さんだったりして
・・・ふふふ。
作者は小学六年生。
幼かったころ楽しんだ絵本の世界を
もういちどこの絵のなかで再現してみたかったようです。
それも年下の子どもたちにちょっとばかりお姉さん風をふかせながら。
水玉と明るいピンク色という組み合わせが、
夢のなかで夢を見ているような、どこか懐かしい感じを生み出しています。
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あっ、これだッ・・・というひとめぼれですか?
それとも、ほしいなあ、ほしいなあ・・・じゅもんのようにとなえての強奪ですか?
それをものにしたときのさまざまな手練手管 (てれんてくだ) をいちど聞いてみたいものです。
女の子にとっての最初の恋人・・・・。
じつはぬいぐるみのことです。
でも強奪なんかしていませんよね。
女の子たちはたいていお気に入りのぬいぐるみを、ひとつかふたつもっています。
あのときはあんなに夢中になったのに、
今は、しまわれているだけ・・・
でもはじめて対面したときの嬉しさは
記憶に残っているはず。
どうやって手にいれたの、と聞いてみれば、
一番高い確率で、
クリスマス・プレゼントでもらったのという答えが
返ってきそうです。
この絵の作者も、そんな経験があるのでしょう。
どのぬいぐるみも、
モデル (もちろんぬいぐるみのこと) から
文句がでないように、
着ているものなどは感心するほど
こまかく描いています。
ぬいぐるみに寄せる愛情が、
こういうところにとてもよくあらわれています。
ほぼ描き終わったところで、
あっ、とつぜん、にじが・・・。
どうしてにじなの、
なんていう質問はしないでね。
作者のそんな声が聞こえそうです。
にじを描くことは最初の予定には入っていません。
頭上にぐいとつくられたアーチに、ぬいぐるみたちはあっ、という驚きの表情。
レインボーカラーは、四角であしらった背景に色や形の変化をもたらし、
いい効果をあげています。
この絵にやさしい感情をつけくわえているのを見落とさないでください。
「オズの魔法使い」の主題歌はこんな内容です。
(オーバー・ザ・レインボー)
♪
にじのはるかかなたには、夢をかなえてくれるところがある
子守歌のなかでうたわれているような・・・
青い鳥がとんでいるような・・・
いつかにじのかなたのそんなところへ行ってみたい(意訳)
♪
この子 (ぬいぐるみ) たちの故郷が、
そこにあると思ったのかもしれません。
でもぬいぐるみたちの故郷は、「にじのかなた」 なんかではありません。
英語でいう home と呼ばれるところ。
ther's no place like home!
どんな意味かは、
英語をならったときの楽しみのためにとっておいてください。
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